Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

海は命を抱いている ③ 完結編

ザッパッパッパッパ~~~ン

ものすごい音を立てながら波が岩山にぶつかっている。そのしぶきが手漕ぎボートの中に入ってくるくらいだ。

F君とU君が乗っているゴムボートにはかなりの水が入ってきているが、そのあたりはやはり、ゴムボート。水が入ってきても沈む気配はない。
二人でワシャワシャ水を外に出している。


「すっげーな、デカイなコレ。」
「うぉおぉおぉ。」



僕らはどうにか、こうにか岩山にたどり着く事が出来ていた。長い時間(1時間半近く)と苦労をかけてここまできたせいか、ただの岩山に僕らは相当感動していた。
ただ、問題がある。・・・・・到達するのはいいものの・・・・。


「っていうか、誰がこんなん上陸できるねん。」


岩山に近づいた僕らの第一声はそれだった。さすがは我ら大阪人、岩にツッコミを入れている。(ツッコミは日常の一部である。←これ、誤解を招くなぁ。)


しかも、ごっついゴツゴツの岩山である。そのレベルといえば、裸足で登れば完全に足の裏を切ってしまうくらい。フジツボとかフナムシがワシャワシャしている。


さらにフラットな場所がない(寝っ転がる場所がない。)

ちっ・・・・・どこが日向ぼっこだ。



悲しいかな、波の強さは一向に、止む気配はない。いったんボートを下りてしまえば、もう二度とボートには上がれないだろう。それくらい波は高い。
それでも僕、ちょっと気持ち悪さを我慢して海中を覗こうとする。
と同時に


グゥラァン、ワシャン、ビチャン (ボートが激しく揺れる音)


「おい。やめとけって。マジでボート傾いたぞ。」
「おい、ヤバイって、マジで!!」



岩山に登るまでもなく、ちょっと重心をボートの端に寄せるだけで転覆しそうになるからだ。
確かにヤバイ。ちょっと鳥肌が立つ。

頭に浮かぶ 遭難 の二文字。


ヤバイってマジで洒落になってないって。



僕ら5人は絶望に襲われた。



だって・・・



え?なにコレ?





え??なにコレ?






え?何しに来たん俺ら?
え?どーすんのコレ?


『実際問題どうしようもない。』


ちょっとした沈黙がまたまた僕らを襲っていた。

でもみんなの頭の上に? ? ? と ど う す ん の ?って出てるのは単純明瞭。

そんなみんなを見回していると、ゴムボートの前方に乗っていたF君が、水中眼鏡をかけてボートの上から海の中を覗いている。ゴムボートは臨機応変である。多少身体を乗り出そうが転覆する恐れはないし、転覆したところで、すぐにまたゴムボートに上がる事は可能である。


「めっちゃ綺麗ぞ。魚いっぱいいるぞ。」


ちょっとテンションがあがるみんな。

「マジで?マジで?」

些細なことでも楽しくしていかないと悲しみに襲われる。


そんなこんなでちょっとテンション上がったんだろうね、F君。ずっと海中を見ている。


見ている。

見ている。

見ている。


片手で水中眼鏡を抑えて、さらにもう片手でゴムボートを支えてる。楽しそうだね~。

っておい!自分の役割は、大切な役割を忘れてな・・・・
と思うもつかの間、気がつけばゴムボートは手漕ぎボートからちょっと離れてしまってる。

そう彼はね連結ロープをしっかりと握っておかなければいなかったはず・・・でもね、興奮してね、忘れちゃったんだよね、それ。(しょーがないしょーがない男の子だもん)


F君が離してしまった連結ロープがプカァーと波間に漂っている。


あーあ。


『いやいや、あーあ、じゃない』


おい、やばいぞ、やばいぞ。どんどん手漕ぎボートとゴムボートが離れてく。

F君もようやく気づいたようで、ちょっと焦っている。


「うぉー、ヤバイヤバイ」


二人の頭上には 遭難 の二文字。

必死になったF君とU君、水を掻きまくる、掻きまくる。4つの手で。。。
でもねぇ、とんでもねー。そりゃ無理っしょ、こんな状況で。
どんどん離れてく。



そんな中、頼りになるのは天然素材Y君。


「おい、これ掴め!」


手漕ぎボートの片方のオールを必死で伸ばしている。
でも寸でのところで届かない・・・・。

「これで帰ってこーーい!!」

普段聞かないような男気満点の声を出しながらオールをゴムボートに向かって投げる彼。しかもちょっと良い顔してる。何か<やったった>感アリアリな顔してる。


え?


え?


え?



マジ天然素材やん?俺らどうすんの?どうやって移動するの?俺らが手漕ぎボート漕いでゴムボートまでいったらいいやん。


そんな天然素材Y君投げた瞬間「あ!?」って言うてる。


お前、そんな方向で天然出すなよ!いつものあの、愛くるしい天然ジョークで場を盛り上げるんじゃないの??


「おい!意味ないやろ!!オール片方だけ投げても。」


たた、そんな声、当のゴムボート組には聞こえていない。

オールを受け取ったF君、もちろんテンパってる分、そんな余裕はない。

「サンキュー」

と大きな声で叫びながら必死でオールを漕いでいる。手漕ぎボートに近づく為に・・・。しかもちょっと良い顔してる。俺に任せとけ的な顔してる。


でもね、みなさん、ここで一言。
1本だけのオールで小さなボート漕いだらどうなると思う?
ね?答えは単純明白。


くるくるくるくる。

回る回る、高速回転。



そりゃもう、水を得た魚のように、鬼に金棒のように(あってるのか、これ?)蜘蛛の糸を目の前にしたカンダタのように。

ゴムボート組のF君U君にはそれが神の手に見えたんだろうね。


そりゃー、漕ぐよ。懸命に。
そりゃー、回るよ、ぐるぐると。


それでもちょっとずつ、ほんとにちょっとずつだけで近づいてきてる。
テンションの上がるF君
あまりにも一生懸命くるくる回り漕ぐ。



ガメラか!?お前らは。
(まぁ、いいや。)




でも裏腹にテンションの下がるU君
そして・・・ついに・・・・大海原に

「げーーーーー、おえぇーー。」




それを見た僕も


「げーーーーー、おえぇーー。」


もらいゲロ


さらにそのゲロが波に乗る乗る。
F君の足元にベッタリ。はい、さらにF君は結構な潔癖症。
ゲロまみれの足を見てちょっとキレてる。


「汚いってコレ!何コレ!」


「あ、ゴメン。それ俺のゲロ」とU君
いや、わかってるよ・・・。



とりあえず、無 茶 苦 茶。
何もかもが無 茶 苦 茶。






ただ、それでも僕らは何とか、再度ドッキングすることができた。


疲労困憊のF君
ゲログロッキーU君
同じくゲログロッキー&漕疲労の僕
何かよーわからん天然素材Y君



そんな僕らの姿を見て俺しかいないと思ったんだろうねS君

「よし、とりあえず、戻ろう!」

確かに、もうここでは、遭難する以外は何もできない。


「ちょっと休憩しようや。genまだ漕がれへんで。」


そして、ここで名言が出た。映画でも臭くて使わないであろう。そしてこんな名言を直接聞く事はこれから先の人生でもうないだろう。




「お前達の命は俺が預かった。」
うそ~ん




メラメラと燃えている。燃えているS君。彼はもともと責任感が強い。


『でも、ちょっと声にだして言ってみて。ちょっと恥ずかしいもんね。絶対言えないものね、普通の状況だったら。』


それでもすごい、人間の力ってのは。戦場で戦いを学ぶ剣士のように、海上でオール漕ぎを学ぶS君。
みるみるうちに上達していく。追い込まれた人間の底力、Sの男気に乾杯。

『でも、あの台詞はないわぁ(笑)』





そこからはあまり覚えていない。
たぶんみんな無言だったと思う。
何よりもSのおかげで僕らはビーチに到着することが出来た。



ビーチに到着した瞬間
ボートも何もかもほっぽりだして、砂になだれ込む僕ら冒険様一行。


ちょっと太陽が雲間から顔をだしている。少し気持ちがいい。。。
眩しいながらも眼をあけて空を仰いで見る。



すると出発の時はなかった黄色い旗。


【暴風注意報】


遅いねん。


ボート屋のおばちゃんも

「あー、こんな日にねぇ。」


もっとはよ言えや!


そんな僕らの数時間の冒険物語。
今でも地元の仲間連中が集まった時は尽きる事のない笑いに包まれます。


END

こんなんだったよ。海。


***後日談***

従兄弟「え?おんちゃん?手漕ぎボートであの岩山まで行ったん?俺が言うてたボートってエンジン積んでるやつやで。ぶぃ~んと行くやつ。」

やっかましいわい

ナニがぶぃ~んじゃい。



2 Comments

関敬  

君には『冒険』の二文字がよく似合う。

2007/07/18 (Wed) 01:43 | EDIT | REPLY |   

gencoo  

>関敬
ありがとう。いつまでもそうありたい。

2007/07/18 (Wed) 11:45 | EDIT | REPLY |   

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