Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

東京・大阪間は、ほとんどが静岡だ(体感)その④

彦根を後にした僕は、N君に教えてもらったとおりの道を迷うことなく進んでいた。そして、ちょっと地図って便利だね・・・なーんて思ってた。

快調に山を越え、<Vo Vo Tau/Beutiful daysとNude>(当時出たて。)、<The love/再会>を聞き叫び歌いながら、機嫌よく、空気を掻き分け進んでいた僕についに

事件が起こった


名古屋に差し掛かったあたりで、クローディアから悲鳴が聞こえたのだ。
泣き声にも近いような音を出している。
後輪付近から黒い煙が上がっている。


「なんじゃこりゃーーー???」


どうやら、常に3時間ごとに休憩はさせていたつもりだったのだが、あまりの快晴に、都会の熱は激しくクローディアを蝕んでいたのだ。(そこまで晴れなくていいのに。。。)


全速前進、快速快調の為には、まず、クローディアの治療が先決だ。バイク屋さん、せめてガソリンスタンドでもあれば・・・。
しかし、スーパーアウェイのこの地、しかも、すでに名古屋の中心部を離れてしまってた為に、辺りには何もない。
かろうじてファミリーマートが見えているだけだ。


心の声「マジで・・・どうしよう・・・。とりあえず、ちょっとクローディア休ませないと。ファミマに入って、心を落ち着けて、対策を練ろう。もしかしたら定員から何か聞けるかもしれないし・・・。」


そう思った僕は、悲鳴をあげるクローディアに
「もうちょっと頑張ってな、もうちょっと頑張ってな」
とつぶやきながらファミマに向かった。



駐車場に停めてクローディアの様子を見てみても素人の僕にはさっぱりわからない。残念ながらクローディアの傷はもはや僕の手に負えるものではなかった。

途方に暮れた僕は、そこで一服した後、店内に入り、情報収集作戦に移った。

そんなに大きくないローカルなファミマ。商品も少ない。雑誌も盗難を防ぐ為か、すべてにビニールがかぶせてある。
これじゃ、どうやっても情報を集める事ができない。とりあえず、若い男性の店員に何か聞けないかと、アミノサプリ片手にレジに向かった。



「あのー、ちょっと聞きたいんですけど・・・」
と会計をしながら話しかけながら、僕は横目でクローディアを確認した。

すると

クローディアを誰かがジロジロ眺めている。
「あっ、すみません、ちょっと待ってください。」

そういって僕はクローディアの元にゆっくりと歩きながらそこにいる人物を確認した。



災難は続く。





その男、かくありき。

ありえないようなリーゼント姿に(東方仗助もびっくり)、スウェットパンツにわけのわからんスカジャンみたいな服装、ちょっと顎がゆがんでる。





ヤンキーやん。




しかも、このご時世にまだ生き残ってたのこんなヤンキー?っていうよーないわゆるヤンキー。



「マジで?ちょー、ホンマ、メンドクサイって。」
そう思いながら外に出て、ヤンキーに話しかけた。



「それ、俺のバイクやけど、何か用?」
災難続きでちょっとイライラしてる僕。そうでなきゃ、もうちょっと丁寧なはず、だってそんなに僕は気が強くないものね。腕っ節も達者ではないし。



「あん?」
と、ヤンキー模範例のような返事



「え?何?」
ちょっとだけケンカ腰になってる僕。(普段ならありえない。そんな気が強くないもの。)



「この、ナンプレ(ナンバープレート)、豊中って書いてるけど、これどこ?豊中ってどこ?」
と話すヤンキーはしっかりと、うんこ座りをしている。これまたヤンキー模範例だ。



「大阪やけど。」
思いっきり大阪弁のイントネーションで応える僕。



「大阪?これ原付な?大阪から来たんけ?」
と応えるヤンキーから笑顔がこぼれる。しかし、歯はまばら。やっぱりヤンキー模範例。



「せやで。」
何故か、普段以上にコテコテの大阪弁をしゃべっている僕。



「おーおー、これ、ここいかれてるだら。」
おもむろに、ポケットから工具を取り出すヤンキー。



何が起きているのかわからず、あっけにとられる僕。



「あー、ダメ、たんねー。工具、近くにワシの家あるし、ちょっと来て」



引き続き何がおこってるかわからず、あっけにとられついて行く僕。




<数分後>




「おらーーー!できた。」

「へ?」

エンジンをかけてみると、もはや、さっきの悲鳴は聞こえない。っていうか、出発前のクローディアより、いい音を出している。
ちょっと走らせて見る。気持ちいいくらい滑らかなギアチェンジ、滑らかな走り。





新生 クローディア ここに誕生。




「うおおおぉぉぉぉ~。ありがとう。完璧やん。めっさ困っててん。どーしょーかなって思っててん。」

「そか、そか。良かったろ。ワシ、中学でてから学校もいかんと、触ってるでな、バイク。ちょろいちょろい。でも、どこまで行く?大阪から?」

「東京まで」

「お前、おもしろいな。そんなヤツ始めてだ。」



そこから、昔からの馴染みだったように、ファミマでビールを購入し、語り合う、漢(オトコ)二人。
確かに、彼はヤンキーだ、それも生粋の。しかも、未成年だ、完璧に。それでもいいじゃないか。彼は漢(オトコ)だ。
漢の語り合いは昔から酒と決まってる。互いの夢を肴に。




僕が東京に行く理由、考古学のこと、役者のこと。色んな話をした。
「そうやねん。イギリスでやりたくてな芝居。だからこのバイクも東京に住んでる弟に預けようと思ってな。」


彼はずっとバイクを触り続けたいらしい。でも、僕が役者の話を熱く語っていたせいもあるのか、テンションが上がって興奮した彼は、こんなこといっちゃった。







「ほー。役者ねー。

・・・お、お、お、わ、ワシの従兄弟、浜崎あゆみとやってんで。」








うそやん。





かんぺき、うそやん。





わっかり安いわ。
めっさ、どもってるやん。
今までしゃべってて一回も、どもってないのに。
しかも、そんなとこで頑張らなくてええやん。頑張るところも、頑張り方も、方向も、何もかも間違ってるやん。




「そか。」
と一言。僕は笑いをこらえるのに必死だった。
でも、そんなことすべてひっくるめて、彼が結構好きだった。



*******

僕らはひとしきり話をした後、お互いの連絡先も名前も交換する事すらしなかった。
自然と、お互いが、また機会があれば会えるだろう。必ず会えるだろう。

その時にお互い名乗ろうと。


彼はスピード違反だけを、一番心配していた僕に、警察が絶対に通らない道。地元の人間しか知らない道。検問ポイント、すべてを教えてくれた。
これで無事に名古屋を抜けることができる。


「ありがとう。」
互いにこの言葉だけ残し、僕は新生クローディアにまたがった。



旅っていうのは何が起こるかわからない。
誰と出会うかわからない。

だから、おもしろい。

sorani a seagull story


そう心に思い描きながら、薄桃色の空に、かすかに金色を帯びた雲がまばらに浮かぶに空に、吸い込まれるかのように、僕は右手に力を入れた。

つづく。

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