Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

人を見かけで判断しないでおこ~ね⑨完結編

Salisburyの夜景色

若干血の気のひき出したイタリアンレストラン2階ろまんちっくなテーブルに座る私。
状況証拠が集まった今、もはやすべてがモーホー街道に向けてまっしぐらである。


初めて現地の人と酌み交わす酒・・ていうか【酒を酌み交わす】じゃなくて、【お酒を飲むぅ~♪】みたいになってしまっている。なんてこったい。


こうなってくると、もうちゃんと話も耳には入ってこない。


「アタシさぁ、軍隊にいたんだよね」
もはや僕の耳には日本語に訳すと、もはやこんな風に聴こえてくる


「へー、そうなんだ。イギリスって特殊部隊有名よなぁ。」


おいおい、さらに軍隊出身って、力ワザでこられたらどーしょーもないやん。


「あっ、知ってるぅんだぁ、SASだよ。アタシ、そこにいたんだぁ。」



イタイ、痛すぎる。。。でも、頑張れ俺、じっちゃんの名に・・・



SAS出身の人に出逢えたのは素晴らしく幸運だけど
敵にまわる可能性があるなら最強の敵だ。かなうはずがない。
本来ならかなり喜ぶべきことだ、だってそういう軍隊モノ大好きだもの。
SAS:英国特殊空挺部隊。世界最強の特殊部隊と言われている。)

「へー・・・っへーーーすごいなぁ、それ。僕も知ってるよ、日本の漫画でSAS出身の考古学者のお話があるんだけどそれがものすごい好きなんだよな。しかもそいつはSASの中のサバイバルか何かの部隊出身なんだ。」

「あら、そのお話なかなか詳しいわね。そうよ、アタシもそこの出身なの。」
「へー・・・へーー・・・っへーーー・・・すごいね。」





終わった・・・。じっちゃん・・・・・・俺、もってかれそうだよ、デビューさせられそうだよ。




「それでね、アタシ、色んな国に駐在したことがあるの、日本はないけど、他のアジアの国とかぁー。キューバらへんのアメリカ大陸からカリブ海らへんまでぇ。結構色んなところに駐留したのよ~。」


色んな国を制覇してきたわけか・・・・。本物のつわものということだな。
つわものどもの夢のあと・・・・その夢跡に散らばったちょっと弱かったつわもの達・・・心中お察し申す。


・・・料理の方はですね、、、えーっとととと。
確か、クリーム系のスパゲティーとピザを食べたかな。
味なんて覚えてない。そっちに集中なんて出来ないもの。


いかにして本題をそらすのか。
いかにしてこの窮地を脱するのか。
いかにして操を守るのか。


実際、本当に彼が気があるのかは知らないのにこの思考回路は失礼に値する。万死に値する。
だーーーが、しかし、だがしかし、現場には現場にいる人間にしかわからない雰囲気、思考、直感があるのだ。事件は・・・・現場で起こってるんだ。


ハイ


そんなこんなで、それ以降、ちゃんと何を話していたのか思い出す事もできず
驚異的なスピードで飯をたいらげた僕。

しばらく会話を交わした後、Garryから言ってきた。
「そろそろ、行こうか。」いや、もとい「そろそろぉ、いぃくぅ?」


どこに行くんだ、どこに僕を連れていくつもりなんだ。
いかねぇ、思い通りにはいかねぇぞぉぉぉぉぉ。



「うん、行こうか。」

そう言って僕らは会計を済まし、店の外へ出た。
小雨が雪に変わっている。オレンジ色の光と古風な建物はかなり良い情緒をかもしだしている。
ロマンチックな感じだ。ふと僕の右肩に何かが乗るのを感じた。
Garryの手だ。ものっそいデカイがっしりとした手だ。

「行こうか。」いや、「いくぅ?」

瞬歩で距離をとる僕。

「俺こっちだからさ、んじゃ、また明日な!またインターネットカフェ行くよ!」
そう言って僕は歩き出した。振り返らず、それでも出来るだけジェントルに。


赤信号の横断歩道で足を止める僕。
となりから息遣いが聴こえる・・・Garryだ。

「俺もこっちなんだ。」

「おっ、そうか。なんだ言ってくれればよかったのに。」
もはや僕の眼にはGarryの笑顔が薄ら笑いすら見える。
『マズイ、非常にマズい』


僕が泊まっているユースは住宅街と真っ暗なトンネルを抜けた先にある。
しかもそれはもう目の前だ。トンネルはマズイ。ひじょーーーにマズイ。


激しく心の臓が脈打つ。
色んなシチュエーションを考えてみる。

住宅街編

その①
走る。力の限り走って逃げる。こうみえても足には自信がある。

・・・ダメだ。SAS出身だもの、そこらにあるもの(木の枝とか石とか)で仕留められる。

その②
助けを求めながら叫びちらす。大声を出しながら叫び散らす。

・・・ダメだ。軍隊出身ならば即座に喉を狙ってくるだろう。


トンネル編

その①
逆に不意打ちで戦ってみる。

・・・勝ち目はない・・・。

その②
「でへぇ~」といきなり精神異常者のふりをする。ヘタしたらう○ことかし○こまでもらしてみる。

・・・気にしなかったらどうしよう・・・



しゃばい・シャバすぎる
何かこっちに来てからシャバ過ぎるシチュエーションが多いよ


こうなればやはり走るしかない。
住宅街ではさすがに何も起きないだろう。住宅街を抜けきったら後ろを振り返らずダッシュだ。Bダッシュだ。
もしかすると、本当にこっち方面に家があるのかもしれない。住宅街の一軒がGarryの家なのかもしれない。


ドキドキしながら二人で歩いていく。
『行ってくれ!どっか行ってくれ!!』




住宅街に入る。



彼が去っていく気配はない。



『しゃばい、マジでしゃばい!!!』






住宅街の真ん中まで来る



彼が去っていく気配はない。



『だぁ・・・・ヤバイ。真剣にヤバイ。』
僕もGarryも完全に無口になっている。







住宅街を抜けるあたりまで来る。



彼が去っていく気配はない。



『うそぉーん、え?違うの?家この辺り違うの?』
もうちょっと涙すら出てきそうになる。







住宅街を抜けきった。



僕は臨戦態勢に入る。立ったまま気持ちはクラウチングスタートのスタイルだ。






限界だ。行くぞ、俺!!ダッシュだ!!!
そう思った瞬間



「俺の家はここだよ。言ってたストリップバーだ。あの赤いネオン見えるだろ?じゃぁ、また明日な。」
「ほへ・・・」


建物の中に消えていくGarryの姿を見送った後、僕はちょっとその場に倒れこみそうになる。



よかったーー!!!!!



もう頭の中では何故か【ロッキーの勝利のテーマ】が流れている。
ターラララーラーララーララララータラララーラララーラララララー♪



勝手もいない、負けてもいない。ていうか一見何も起こってすらいないように見える。
ヨシとしよう。

それでも勝手に始めて、勝手に終わった死闘に終止符をうったのだ。


SASに勝った!!!特殊空挺部隊員に勝った!!!
ララララララーラーラーララー♪ 



どこかに台でもあるならば、そこにあがって両手を天に上げるガッツポーズをしていただろう。
ジョギングをしながら階段を登っていただろう。




エイドリア~ん!!!!!!!!




心地よい風に頬をなでられながら
サラサラと降り注ぐ雪を見上げながら
僕は平和に操を守り、幸せにトンネルをくぐりぬけてユースへの帰り路を急いだ。



『じっちゃんの名にかけて』


ロッキーのように天をつく拳


後日、正直に僕はGarryに聞いてみた。
お前はモーホー、ホモなのかと。
彼は言った。大笑いしながら
「はっはっは。よく間違えられるんだ。このナリだろ、このガタイにこの顔。よく間違えられるけど、彼女もいるし
れっきとしたストレートだよ。」

「え?でもストリップバーは?」

「あぁ、あれは用心棒として住み込みでガードマンをしているんだ。軍隊出身だしな、頼られるんだよ。」

「なーーーるほどな、はーーっはっはっはっは。」
僕は心の底から笑った。申し訳なさを深く感じながら。
もちろん、ちゃんとあの日の晩のことを詫び、それ以降、楽しくSalisburyで酒を酌み交わしたのであった。
今でもごくまれに連絡を取り合う中でもある。


そう何が言いたかったのかっていうと

人を見かけで判断しないでおこ~ね。


完。


長いお話にお付き合い頂きましてありがとうございます。


2 Comments

*kat*  

あはははは~~爆笑
笑った
SASはよかったね!

2007/12/14 (Fri) 03:17 | EDIT | REPLY |   

gen  

>kat
当時は笑い事ではなかったけれど、今となればね・・・。
楽しんでもらえて幸いっす。

2007/12/14 (Fri) 13:11 | EDIT | REPLY |   

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