Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

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青い空と大きな時計、雪

青い空と大きな時計、雪


雪が深々と降る一日は特に苦手だった。

長い廊下が余計に長く感じるからだ。

まっすぐ奥の扉まで伸びる赤い絨毯。
入道雲のように不規則な少しくすんだ白い段天井。
お城の建造から人々の移り変わり、歴史的な出来事を一繋ぎで描かれた西洋画で埋め尽くされた壁。
不規則な格子から零れる不規則な光が赤い絨毯を照らす窓側の壁。

そんな四面に囲まれた廊下は晴れた日には心地よく感じるが
雨でもなく、曇りでもなく、そう、雪が降る日には余計に長く感じるのだった。


彼女の朝はこの廊下から始まる。


廊下の端に目立たなくひっそりと位置している小さな部屋。
彼女が目覚めるその部屋にはベットが5つある。

窓側から一番遠いベットを彼女は使っていた。
太陽の光が直に当たる窓付近を好まなかったからだ。
とはいえ、彼女が使っているベット以外はすべて埃が被っている。
無理やりたくさんのベットを部屋に入れている為、内開きのドアは
必ずベットにつっかえてしまい、普通であれば身体を横にしなければ通ることはできない。

幸い彼女は身体が小さかったため、さして苦労することもなく行き来することができていた。
そんな狭いドアは自分の部屋を余計に特別なものに感じさせてくれるようで、彼女の笑顔を生み出す一つの
大切な要因になっていた。


毎朝、同じ時間に部屋の外からの足音で目が覚める。
部屋の外のテーブルに朝食と紅茶が置かれる音だ。

目覚めると彼女はまず窓から外を眺める。雪空でないことを祈りながら。

部屋の外に置いてあるアンティーク調の小さなテーブルには4人の天使が飛び回っている絵が
描かれているのがかすかに見える。彼女は一番消えかかりそうな小さな天使をリッケルと名づけ
可愛がっていた。

朝食と紅茶のトレイに覆われず、かすかにでもリッケルの姿が見えた一日は
必ずいいことがあると彼女は信じ込んでいた。




いつもと同じように足音で目覚めた彼女はいつもと同じように窓から外を眺めた。


その日は雪が降っていた。


落胆の色を見せながらも、
一番お気に入りな薄い絹の青いワンピースに着替えをすませ
長い赤みがかった髪を簡単にとかし、慣れた足取りで部屋を出る彼女。
いつものように食事が置いてあるテーブルを眺めてみたが、リッケルの姿はまったく見えなかった。

少しトレイをずらしてリッケルの姿を見てみるも、いつものような喜びは感じられない。


ミランダはゆっくりとトレイを持ち上げ、大きく深呼吸をする。
自分の足がとても重く感じながらも、力を振り絞り一歩を踏み出す。


重苦しい廊下の先にある扉に向かって。


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