Man of Steel

なんだか、月一の更新になってしまっているようで、恐縮で縮んでる葦沢リオです。
この数週間はオーディションがあったり、声の仕事があったり。また明日から【All That Remains】の撮影があります。
普段は、週末の午前中にアールグレイを飲みながら、まったり書くってのをルーティンにしてたのですが、ここ数週間の週末は、朝起きれない事が多く、いやはや、俺ももうおっさんだなと。
今日は、ちゃんとアールグレイを片手に、6月中旬なのに初春の凍えるような天気の元、魔女の宅急便をバックグラウンドにブログ書いてます。それに、最近なーんか、真面目な話ばっかりだから面白いことを書きたいなぁと思うんだけど、ブログに向かうとそれがでてこない。
でも、人と話をしていると、「あ、そういえばこんなことがあったんだー」なーんてことが多々あるのに。
それに、人と話していた内容はあんまり思い出せないんだな。酔っ払ってるせいなのか、記憶力が悪いのか、ちゃんと話を聞いてないのか。はたまた、わかってるつもりでも英語をちゃんと理解してないのか。
まぁ、そんなこんなで思考回路の迷路で迷子になりながら、
無重力の宇宙で浮遊しながら地球を眺める宇宙飛行士のごとく
ふんわり、ギュッと書き綴っていきたいと思います。
さて、何から。
やっぱり映画草子で。
書くべき、映画草子もたまりにたまってしまっていて。映画を観てないから書かないんではなくて、観てるんだけど、書けていないだけで。とりあえず、キャッチアップするために、今日はタイトルのものだけ、ちゃんと書く事にして、後は簡単な紹介だけ。
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多少の酷いことでも、仕事と割り切ってこなす一辺倒の人間が、人と出会い人生を見直す…というありがちなお話の中で人が生きる上での葛藤というものを上手に組み合わせたお話。主人公のマット・デイモンは葛藤の塊です、で、葛藤の塊が人間です。【Promised Land】
いわずもがな、シリーズ3作目で完結話のアイアンマン。ロバート・ダウニー・ジュニアの2.5枚目の役柄と完全無欠なヒーロー(はずな)が織りなす、どんくさカッコいいをこの3作目でしっかりと形にしています。【Iron Man 3】

当時センセーションを巻き起こした【9 songs】をはじめ、個人的にも好きで、東吾さんも出演していらっしゃる【CODE46】など、クセのある面白い映画を作るマイケル・ウィンターボトム監督が、実在したキング・オブ・SOHOの一生を描いた映画。【The Look Of Love】

フィッツジェラルドの同名小説、さらにはロバートレッドフォード主演で有名な【華麗なるギャッツビー】のバズ・ラーマン監督、ディカプリオ主演でのリメイク。相変わらずの豪華絢爛な映像に、もう、ディカプリオの演技に脱帽です。
【The Great Gatsby(華麗なるギャッツビー)】はまさに現代の【ロミオとジュリエット】
16世紀では男も女もロマンティックで純粋で、家柄や環境なんてものともせず、二人が一緒になることを選ぶんだ。
20世紀では、男は相変わらずロマンティックで純粋だけど、女はキャリアや安定に左右されて、二人が一緒になることを選べないんだ。
バズ・ラーマン監督の【ロミオとジュリエット】と【華麗なるギャッツビー】。主演は共にディカプリオ。その間に入り込む【タイタニック】うん、役者と役柄というのは本当に、本当に、おもむき深い。
噂で聞きました。ディカプリオはまたしばらく休業するらしい。
ちょうどタイタニックが終わった頃、噂を聞きました。しばらく休業すると。さらに噂を聞きました。リバー・フェニックスも苦しんだ、とくに子役からずっと演じている役者によくある精神病にかかりつつあるために、当時、ドクターストップがかかり、しばらく休業したと。
どんな役も難しいんだけど、役によってその<しんどさ>が違ったりします。なーんとなく、この作品達の共通項が垣間見えました。
前から不思議だったんだよね。
All That Remainsの撮影現場には、食事の時間以外にも小腹が減った時用に、ポテトチップスだったり、クッキーだったり、ブラウニーだったり色々おいてあります。
(こっちの人は老いも若きも男も女も甘いもん好きだかんな。おっとこ前の、すました僕の友達がケーキを見てテンションがものっそい上がってる姿をみると、えもいえぬ不思議な感覚に陥るんだな。)
そんな感じで、クッキー、チョコなど色とりどり、多種多様の甘いものがおいてあるわけですが、そこに異色なオレンジの光を放つ物体。
ざ・キャロット
訳:にんじん。
無造作に、ふくろごとどかんと、ニンジンスティックがおいてある。テーブルの上に。
こっちでパーチーなんてあると、よくグレープだったり、色んな果物がおいてある。それに、ちゃーんとニンジンだったり、セロリだったり、キュウリだったりが、棒状に切ってあり、野菜スティックとしてフムスと一緒に食べるなんてオシャレな事ももちろんある。
他の現場でオレンジやバナナ、リンゴなんてよく置いてある。もちろん、All That Remainsでも、ランチやディナーの時間にはそういった果物も置いてある。
ニ・ン・ジ・ン=お菓子。
ないない。
少なくとも、俺的には絶対ない。しかも何にもつけずに生でボリボリはない。
そのニンジンが、クッキーやチョコ、ブラウニーなんかの横にあたかも「私もあなたたちの仲間よ」的な表情で豪快にいる。下手すると他の王道スイーツよりも場所をとっているくらいだ。
大事なシーンの前に少し、みんなに静かにしてもらった。
僕はグリーンスクリーンで空想の世界に飛び込んでいる。静かに目をつぶりまずは口からするどく、波紋の呼吸のようにゆっくりと尖った息を吐き出し、一つ一つの細胞で酸素を吸収するかのごとく、ゆっくりと鼻から空気を吸い込む。
しばらく、それを繰り返す。徐々に徐々に、喉を通り、肺を通り、胃を通り、身体の中で一定の流れが生まれ出す。繰り返し、繰り返し。それを大切に、大切に球体に形作って行く。
呼吸が荒くなり、そのまま心臓の鼓動が大きくなる。
そして、呼吸がとまったかのような、突然の静寂。
目の前には燃える町。
そばには、苦しそうにもだえる火傷患者たち。
口の中を切っているのか、苦い鉄の味。
右のこめかみの傷が深く、失血とめまいでふらつく両足。
遠くから聞こえてくる・・・マシンガンのような音、
バリバリバリバリ、バリバリ、バリバリ。
ボリボリボリボリ、ボリボリ、ボリボリ。
ポリポリポリポリ
「ポリポリ?」
ぽりぽり?
目をあけると、静かなスタジオの中で一斉に僕を見るスタッフ。
ぽかんと「え?どうしたん?」という表情で僕を見るスタッフ。
ニンジンを次から次へとポリポリするスタッフ。
動いているのは口と、次のニンジンへ伸ばす手だけ。
「・・・」
「お前らは、うさぎか。」
で、こないだ何かで読んだんだけど、ニンジンの効能をたまたま読みました。
<足りない「気」を補って身体を元気にします。栄養分に富んだ水分を生み出し、体液を補給し代謝をスムーズにします。神経や頭を使う人には相性が良いとされます。>
すげーじゃん、ニンジン。
いいじゃん。ものっそいいいじゃん、芝居に。
「気」はやたら遣うし、使うしね。神経や頭なんてすり減るほど使うから。しかもグリーンスクリーンだと。
これから人参を見直そうと思います。
明日もあるかな、人参。
助かるよ、ほんとスタッフの皆さん。今まで演じて来た役の中でも随一の<しんどさ>だから。
そんなこんなで、映画草子徒然と・・・。
【Man of Steel(マン・オブ・スティール)】
ダークナイトシリーズが好きで、待ちに待ったこの作品。「実は」がとても好きな僕には、眼鏡姿で気弱で目立たないクラーク・ケントが「実は」スーパーマンで…という設定が小さい頃からたまらなかった。能ある鷹は爪を隠す。本当に強い者は、強さをみせびらかさない。
でも、アメリカチックな些細な抵抗をみせるところはあんまり好きでなかったけど。
さて、このスーパーマンをどうやってダークナイトシリーズのように、現代に、現実にあてはめるのか。
結論として、いやー、ちゃんと書けた台本だ。
映画をとてもよく知っているし、息もつけないほどの1.5流映画のクライマックスシーンよりも迫力があり、観客をグッと握りしめる冒頭から最後までしっかりと「映画」として包んでる。
それに何よりも大切な、愛がある。作品に対して真摯に向き合い、方向性を丁寧に調整している。こういう作品には珍しくそうそうたる顔ぶれの役者がとても良い味を出している。なかでも、ケビン・コスナーがたまらない。アメリカの片田舎でスーパーマンを育てた父親。彼の一言、一言。クラークに向ける言葉、表情がもうたまらない。何度もウルウルしました。
「Can I just keep pretending I'm your son?」
「You're my son」
あー、やっばい。
俺はいつ新しい生活に入ったと人に聞かれた。
俺はふいに入った。
開かないと思った戸が或日、ふと開いたから入った。
努力なしに平気で入った。
時が熟し切ったから入った。
力こぶを入れずに入った。
だから入っても平気で生きている。
まだ本当に力こぶを入れずにすんでいる。
「新しい生活」武者小路実篤



