Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

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歯車

みなさん、またまたご無沙汰していました。葦沢リオです。

お元気ですかー?

イギリスは、まぁ、寒い。まだ寒い。自転車に乗る時にはまだダウンジャケット着ます。中は半袖だけどね(なんだそりゃ。)今日なんて、風が強すぎて道路を走ってると風に飛ばされて、横にリアルにスライドしちゃった。


寒いくせにすんごい冷や汗が出た。


そしてふと高校の卒業旅行を思い出した。


僕の高校の卒業旅行は自転車の旅だった。もともと高校にも30分ほどかけて、自転車通学をしていたのだが、何を思ったのか大阪から琵琶湖を一周して帰ってくるという何ともティーネージャらしい無謀な卒業旅行を計画した。

もちろん自転車は今流行りのレーサースタイル、ロードバイク、はたまたハイブリッドなわけがない、ママチャリだ。カゴがついてる3段切り替え。切り替えがない奴もいた。

僕の松風号ももちろん、切り替えはなしだった。


ちゃんと話すと、ものっすごく長い話になってしまうので、かいつまんで話すとプランはこうだ。



自転車をこげるまでこいで、疲れたら24時間営業のファミリーレストランで1品注文し、交代で寝る。まぁ、1泊2日、もしくは2泊3日くらいで帰ってこれれば良い。銭湯か温泉なんかあればもっと最高だ。
高校3年間の思い出話に耽りながらゆっくりと風を肌で感じ、颯爽と自転車をこぐ。
自転車版ツーリングだ、青春だ。


意気揚々と早朝に出発した僕らは、思いもよらぬスピードで大津に着く、時は正午、大津は琵琶湖を時計にみたてて、6時の方角だ。


僕らは思った。


「やっぱりサッカーで鍛えた足腰は伊達じゃない。」


「うん、もっと行ける。」


そこから反時計回りに琵琶湖を一周する僕らは、夕方前くらいには彦根あたりについていた。


さらに僕らは思った。


「血反吐を吐きながらも走り続けた、涙も枯れるほどの苦しいダッシュは伊達じゃない。」


「うん、余裕だ。もっといける。」


まだまだ、ファミレスで休憩するには時間が早い。もっと、先に進んでから、夜もふけてから休憩すれば良い。


そのあたりから徐々に異変が現れてくる。


ちょうど、琵琶湖の2時の方向で見つけたファミリーマートで休憩しようとした時だ。

僕を残して全員が自転車から降りる。

まるで、顎にアッパーが掠ったボクサーのように、綺麗にコテんと一人がこけた。ちょっと可愛らしく。すると、起き上がりこぶしがコロンと転がるように一人、また一人と転がってしまう。起き上がりこぶしとは言ったものの、大きな違いはやつらがに起き上がってこないことだ。


一人が叫んだ。


「尋常じゃないくらい、ケツが痛い。」


そして、もう一人が笑った。


「やばい、やばい、自転車に乗れへん。」



そして、僕は心に決めた。


絶対に自転車から降りない。



超長時間サドルに座り続けた僕らのお尻は完全に麻痺してしまい、痛みを忘れていたようだ。
すこしでもサドルからお尻を離すと、何か失われた大切なものが激流となって戻って来るような感覚に襲われ、まるで注ぎ方を失敗したビールがグラスからあふれるのを、咄嗟に手のひらで蓋をするように、僕はすぐさまサドルにしっかりと座り直す。もちろん、その頃はビールの注ぎ方なんてわかったもんじゃないけれど。


そして、僕は言う。


「あー、俺、ポカリでいいから、よろしく。」


できるだけ違和感のないように。


ハーレー・ダビッドソンのように大きく曲がったママチャリのハンドルをしっかり握り、大股でアスファルトを踏みしめながら。


奴らからの冷たい目線ならまだいい。その凍てつくような視線を交わすように僕は言った。

「松風、よろしくな。」

今が旬のティーネージャだ、僕たちは。無論、彼らがそんな僕を許してくれるわけがなく。失った大切なものをしっかりとその尻に取り戻した彼らは、僕を松風号の鞍から引きずり下ろす。僕は叫び声をあげるも、それは民主主義的多数決で決定された意志と彼らの笑い声にかきけされる。

僕の傍で松風号は、特に何もしてくれず、ちゃんとスタンドを降ろしてもらい、景気良くそこに立っている。そりゃーそうだ。。。



それからというもの、コンビニで休憩する度に、誰一人として自転車から降りることなく、パンクしたフィアット・チンクチエントの修理を巡って、これ以上ないくらい真剣にジャンケンをしたルパンと次元を超える大音量と大袈裟な動きでジャンケンが繰り広げられることになる。

負けた一人は、自転車から降りなければならないのだ。

大切なものを失うとそれが戻ってくるときには大きなしっぺ返しがある。



それを繰り返していると気がつけば、僕らは12時の方角にある山越えを経験することになる。みんな披露困憊だ。特にジャンケンに負け続け、大切なものを失い続け、取り戻し続けたTくんの疲労は激しい。最後尾をゆっくりとついてくる。無言だ。それでも、自転車を降りて、おすことは敗北とあの痛みを同時に経験することになる。簡単には立ち直れないもんだ。



それに視界があまりよくない、というかほとんど何も見えない。時間は深夜をまわっている。もちろん安物のママチャリにライトはついていない。ついてはいるが、スイッチを入れることで、ペダルがかなり重くなるリスクを誰も背負いたくない。ただでさえキツイ坂道だ。


ふとKくん、叫んだ。


「おい、あの看板見ろよ。クマ注意だって」


その瞬間にTくんが、立ちこぎで全員を振り切った。

もちろん、立ちこぎが何を意味するかはわかってもらえると思う。

つられるように後ろを振り返らず僕ら全員が立ちこぎに切り替える。もう、大切なものが失われようが、取り戻そうが関係ない。


目の間にトンネルが見える。歩道はもちろんないので、車道の端を通る。横を運送系の大型トラックがかなりのスピードで通る。その爆風の圧力で、僕らの自転車は文字通りスライドする。


そう、スライドするんだ。




スライド。




それを今日、ふと思い出した。


ちなみに結果としては、一睡もせずに大阪の28時間かけて帰って来た。彦根を超えてから、大津まで、3時の方角から、反時計回りに6時までなーんにもなかった。

さらに奇しくも、疲れて帰った僕をねぎらうために母が布団をしっかり干してくれていたのだが、疲労困憊の僕には卒業旅行という時期にちょうど、リリースされるスギ花粉を十分に吸収した布団は、耐えられるものではなかったらしく、起きたその日から見事に毎年、その時期に花粉症に悩まされることになった。

もちろん、これは誰のせいでもない。




なーんてことを考えながら、自転車をこいでいたんだけれど、月末にむけてどんどん財布が空っぽになってくるのと並行して、えも言えぬ焦りが徐々が出てくる。


「あー、やっべ、もうすぐ一月すぎちゃう。(ブログにスポンサー広告でちゃう~)」


例え自分で勝手に決めた約束だとしても、誰かと別に約束したわけじゃなくても、ちゃんと守らないと。「死守ぅ~、シュシュー」って思いながらラストミニッツで日常生活の中でアンテナを無理やりピンと立たせようとする。鬼太郎みたいに髪の毛だけじゃなくて、指先や足先や、もう色んなところからアンテナを伸ばそうとする。



耳を澄まして歯車の音を聞くために。



だって、僕は物書きじゃないから特に、書くつもりでアンテナを張ってないと、何書いたらいいかわかんなくなるし、(じゃぁ、書くなよ。)それにいつも頭の中で考えているようなことを書いちゃうと、暗い、鬱陶しい内容になるから嫌なのだ。(じゃぁ、書くなよ。)

かと言ってやっぱり楽しみにしてくれている、たまたま見てくれている危篤な素晴らしい皆さんに、

「僕は元気でやってるよ。」「みんなも元気でやってけよ。」

って伝えたいので、自分なりにコミットメントということを大切にして(じゃぁ、書くなよ。)、徒然書かせてもらっているんですけど・・・。

もうこの(   )が襲いかかってくる。ちょっと黙りなさいってくらい。



ごめんなさい。



最近は、またたくさん夢を見るようになってきた。これは僕にとってはあまり良い兆しではない(前回のブログみてね。)。まだ、何か歯車がちゃんと噛み合ってない気がする。今回は長いなぁ。


先日、家の近所で買い物に行った。映画を見る前に簡単な買い物を済ませてしまおうと(映画草子もまた書くから)。スーパーのレジのおねいさんが楽しそうに歌を歌っている。歌いながら、機械にバーコードを読み取らせている。しかも、とっても歌がうまい。笑顔も素敵だ。でも、いきなり笑顔を消し、歌うのをやめて、話しかけてきた。

「○○って歌手しってる?」


「ごめん、名前しか聞いたことない。」


「あ、そう。ならい・・・あっ!」


って言いながら嬉しいそうにまた歌い出した。

「ごめん、歌詞がわからなかったから。思い出したわ、やった!」


バーコードが読み取られるリズムとスピードは歌と一緒だ。


遠くの方ですこし歯車がかみ合わさった音が聞こえた。



先週末、知り合いの誕生日会がレジャー施設を貸し切って催された。ボーリングからカラオケから、卓球からクリケットのバッティングセンターまで。腕がパンパンになるまで、右尻が筋肉痛になるまで、ボーリングの球を投げまくりました。


あんなにボーリングの球を投げまくったのは初めてだなぁ。


貸切の時間は12時までで、それ以降は上の階にあるクラブに移動しなければいけなかった。タバコをすってから行くからみんなには先にいってもらい、一人でビールを飲みながらタバコを吸っていると、バウンサー(警備員)のおじさんと目があった。


「楽しんでるかい?」


「うん、もちろん。」


「今日はまだそんなに寒くないけど、大変な仕事だね。」


「まぁな、仕事はなんでも大変だ。」
おじさんの顔は爽やかだ。こんな酔っ払いを相手にしているのに。


「そうですね。」


「・・・今日はもう帰ろうかなって思うんだけど、どう思う?」
実は貸切の時間が終わる前に、トイレを探し求めてたまたまクラブに迷い込んでいたから、クラブの雰囲気がどんなものかはわかっていた。


「そりゃー、お前が決めねーとな。」


「朝からサッカーもあるんですよね。」


「おー、じゃー帰れ帰れ、飲むなら旨い酒をのみな!俺も明日の朝早く起きて、クリケットの試合を観に行くんだよ。楽しみだ。」


「じゃー、おじさんもあんまり遅くならないようにしないと。」


「仕事は仕事だ。ちゃんとやるさ。」


そうにっこり笑ったおじさんに一礼をして、僕はクラブへ入り、友達に帰ると伝え、また外に出た。


「おじさん、帰るよ。じゃぁ、頑張ってね。」


「あぁ、ありがとう。」


そう言って、僕はまたタバコに火をつけながら颯爽と歩き出した。すこし笑っていたようにも思う。

すると後ろからまたおじさんの声が聞こえる。

「おーーい、おーーい!」

おじさんが小走りで追いかけてきている。


「おい、お前、くつ、靴!」


僕はどうやらボーリングシューズを履いたまま帰ろうとしていたようで、気がついたおじさんが、追いかけてきてくれたのだ。その日履いてた靴はとっても大切な靴だったので、僕は大急ぎで、センターに戻り、靴を履き替えた。スタッフの人が、他にも数人自分の靴を残したまま帰ってしまったと言っていた。酔っ払ってボーリングはするもんじゃない。


自分の靴に履き替えて外に出たら、おじさんが満面の笑みで僕を待っていた。

「本当に助かりました。大切な靴だったので。」


「気にするな。よくあることさ。」


僕はおじさんに丁寧にお礼をいって握手をした。そして、一目散にゲートをしめつつある地下鉄の駅に向かって走った。風は冷たくて気持ちいいし、そんなにお酒がまわってもいない。いつもはメガネだけれど、今日はコンタクトレンズをしている。


遠くで、また歯車がかみ合わさった音がした。


無事に電車に乗り込み一息つく。そこでおじさんを思い出して、すこしにんまりする。
だけど、僕はおじさんの名前を聞き忘れた。いや、聞けなかったし、聞かなかった。


やっぱり、僕の歯車はずれている。
まだまだ時間がかかるのかもしれない。


それでも、時間は流れていく。世界を丁寧にゆっくりとギリギリと動かす歯車は僕の状態に関わらず、ちゃんとかみ合いながら回っている。

どこかで、ちゃんと僕の歯車もしっかりとかみ合わないといけない。


それがここにいるってことだと思うから。


「僕は、元気でやってるよ。」

「みんなも元気でやってけよ。」


歯車

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