Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

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バーミンガム 再

長らくご無沙汰しておりました。葦沢リオです。
みなさん、お元気ですか?

 
Facebookページは感情を。ブログでは思考を。それをほわっとウェブサイトで包む」


なーんてえらそうな自己満足の旗を掲げて色々ちまちまやってますが、
やっぱり旗色通り、Facebookが更新しやすのにかまかけて、
こちらを留守にしてしまいました。すみません。
 
そっちものぞいてみてね!)

4月の更新は苦渋をのみました。すっ飛ばしてしまいました。
あぁ、渋かった。頑張ったんだけどね。いやぁ渋かった。
 
何を書こうかなと楽しみにしている反面、しっかり書こうと思う気持ちがギューっと身体の中に凝縮されて、うわー書かないとって苦しくなるものの、その気持ちもそれに繋がる行為も結局、何処にも行けず出汁が出るのと同じノリで、溜まりに溜まり、濃く濃くなってしまい、結局渋くなっちゃうんです。

つまり、苦渋。
 
今月も紙一重でギリギリセーフって感じです。

本当は、7年ぶりくらいに『青い空と大きな時計』を書こうかと思ったんですが(誰が見てんだぃ!)、それはまたおいときます。書きたい事はあるし、時々登場人物が「ワシはまだかよ」って言ってくるんだけど。
 
 
 
5月1日は永井隆さんの命日でした。

永井隆さんを題材にした映画「All That Remains」も
今年くらいには吉報が舞い込むのではないかなぁと思っています。
 
新しい予告も公開されています。







今年は戦後70周年。こんな時代だからこそ、個々のちゃんとした意見、それに伴った行動が大切になってくる。長い時間と共に戦争を知っている世代が失われてきている。

体験した人よりも、圧倒的に戦争を史実として知っているだけの人が多くなっている。

危うい。でも、これは自然なことだ。
 
今は、知っているだけの人が、実際に体験したかのような感情と感覚を想起できる色んなプラットフォームがある。映画もその一つだと思います。
 
各人がしっかり考えるきっかけになるえるものを、たくさん見聞きする機会が、今年はそこいら中にあると思うので、それを目に見えない空気のようにふわっと身体をとりまく何かにしてしまわず、酸素のように吸い込んで、身体の中でプロセスし、二酸化炭素のようにしっかりと、言葉・行動にして、吐き出してください。
 
自分にも言い聞かせてます。


【All That Remains】もその何かになればなぁと思っています。
 
 
5月の中旬頃、【All That Remains】の監督ヒギンズ兄弟が教育用に作成するダーウィンと進化論の映像作品に出演した。
 
役柄は
 
The Caveman
 
 
日本語に訳すと「洞穴にすむ人」
 
いわゆる石器時代の原始人になりますわいな。
 
 
進化論だもんね。特殊効果に優れた両監督にしてみればこういう類は朝飯前なわけだ。
それに、長く付き合った監督たちとまた仕事できるのは嬉しいから、二つ返事でオファーを受けた。
 
映像の特殊効果に特化しているとはいえ、もちろん衣装やメイクを後でCGIで追加することなんてできないから(できないのかな!?)、撮影前に時間がかかるということで久しぶりのバーミンガムへ、前夜からのウキウキワクワクの前乗り。
 
1年に渡って通ったバーミンガムへの電車、2時間くらいの道のり。

相変わらず駅に到着後すぐに、タクシーに乗ってスタジオへ。
 
 
 
「ほんっと何もみたことねーよ、バーミンガム」
ボソッとつぶやいてみた。
 
そういえば、バーミンガムはカナルが有名で、ロンドンのリトルベニスより、もっとリトルベニスだぜ!って【Breaking the bank】で一緒に働いていたスタッフが言ってたな。なんて思いながら、タクシーの窓からどんどん遠ざかっていく、バーミンガムの中心街の灯りを眺めていた。
 
バーミンガムには、ビッグベンにちなんでリトルベンなんていう時計塔もある。

ちょうどその横を通り過ぎたところで、タクシーの運転手が、バイクの運転手に怒り出した。
 
「あいつはなんだ、蛇行運転しやがって、酔っ払ってるのか。」
 
「いや、別に蛇行運転はしてないと思うよ。」
 
「いやー、あれは俺をバカにしてるな。」
 
かなり主観的に物事をみるタクシー運転手だ。この道路は渋滞とまではいかなくてもかなりの交通量だ。

左脇にはスクーター載ったお姉さんもいる。一台のバイクの行動を自分でしょいこむには、かなりいろんなプロセスをショートカットしている気がする。
 
「そんなに急いでないからいいよ。」
 
無視か。まぁ、いいや。
 
「兄ちゃんどこから来たんだ。」
 
自分のタイミングでは話しかけてくる。
 
「ロンドンから」
 
「出身は?」
 
「ジャパン。」
 
「じゃ、ジャパン?俺いきてーんだよ、ジャパン。・・・おっと。」
 
車が少し横揺れする。気持ちはわかったから、前を向いてくれ。前を向いて運転をしてくれ。
やっぱり、かなり主観的だ。いったい一瞬前までの蛇行運転疑惑はなんだったんだ。
 
「こんな時間にあんなところに何しに行くんだ?」
 
撮影スタジオは結構離れたところにある。
 
「撮影。」
 
なんだかわからないけど、どんどん言葉数が少なくなっている。

そりゃーそうだ。蛇行運転疑惑が完全にこのタクシーにうつってしまっている。
後ろばっかり向くんだもの。そして僕は気分が悪い、車酔いだ。
 
少し目をつぶろうとするも、寝させてはくれない。
 
わかったから前を向いてくれ。
 
それでも、無理やり僕の中のOSをシャットダウンし、眠りについた。
どんどん遠くなる運転手のおじさんの声で最後に僕の耳に残ったのは笑い声だった。
 
 
なんというか、戻ってきたな、バーミンガムに。
 

「ついたぜ!」


一瞬自分がどこにいるかわからなくなったけれど、あまりにも近いおっさんの顔に、また思った。


戻ってきたな、バーミンガムに。

 
そんなこんなで、スタジオに到着して、ホテルのバーで「思いっきり飲もうぜ、イアン、ドミニク」って思っていたんだけど、僕のシーンは翌日とはいえ、スタジオでは他のシーンの撮影をしてるよね。
 
僕が到着した頃には、監督たちが携わっているもう一つの教育用作品、アインシュタインの映像作品を取り終えた役者さんがメイクを落としていて、スタッフも片付けに入っているところだった。
 
イアンとドミニク両監督とも久しぶりの再会。
 

【All That Remains】のアフレコ以来なので、ちょうど1年。
再開を喜び、クイックパイント(軽く一杯という意味)をしつつも、翌日は朝から4時間近くのメイクなので、早めに床に着いた。
 
 
翌朝、再開したスタッフはほぼ【All That Remains】と同じ。

気心しれたチームなので、何もかもが円滑に進む。
 

(あー、これっていいなぁ)
 
そう思っていると、メイクのタニアが
 
「リオ、メイクするわよ、トイレちゃん済ましてね。数時間いけないわよ」
 
「え?マジで?んじゃ、ナンバーツー(=大)行って来る!」
 
なんてやりとりをしつつ、椅子に座る僕。
 
ADのダンが言った。
 
「メイクのビフォア・アフターを撮るからカメラまわすな。」
 
「いいね!」なんて返す僕。
 
 
霧吹きで丁寧に僕の髪の毛をぬらすタニア。
 
「髪の毛伸びたねー。あんなにツルツルだったのに。」
 
そんな他愛もない話をしながら飛び交う笑い声。
 
 
 
しばらくすると、遠くでブイーンという聞きなれた音が聞こえてくる。
 
 
 
(ん?この音は・・・・)
心が反応する。
 
 
 
そう、【All That Remains】の撮影で聞きなれた音。
 
毎回スタジオに来るたびに、聞いていた音。
 
禊のような、儀式のような、その音を聞くことで撮影に入る。そんな音。
 
そう、電動バリカンの音。
 
 

パブロフの犬が鈴の音で涎を垂らすように、バリカンの音で僕の背筋は、クイっと伸びる。
 
・・・。
 
・・・・・・。
 
・・・・・・・・・・・・。
 
 
 
【All That Remains】は諸事情により、長期にわたって撮影した。
撮影に戻ってくるたびに、役柄の髪型ということで、みんなでうきゃうきゃ言いながら、楽しそうにまたは、儀式のように僕の髪の毛を「切る」、「剃る」を行っていたわけだ。
 
 
一瞬そんな楽しかったけど、髪の毛との別れが悲しかった日々を思い出した。
 
 
 
(ん?待てよ。なんで?)
 
心の中で僕はつぶやく。
 
(え?剃らないよね?また剃らないよね?聞いてないよ、聞いてないよ。使えるじゃん、俺のロンゲ!)
 
あせる気持ちは裏腹に、もちろん顔は笑顔。
 
もちろんタニアの顔も笑顔。
 
 
引き続き、心の中で叫び声が木霊する。
 
(時間かかったよ、ここまで伸ばすのに時間かかかかかかかかったよ。)
 
(別に、一人芝居をやる予定は今のところないからさ、別にこれだけ長くないといけないわけは、なななななないけどさ。)
 
(ジョニーって言われるのも最近だんだん微妙になってきききききききたけどさ。)
 
 
走馬灯が映像ではなく、心の声となりヒヒーンとそこら中を走りまわる。

いや、もとい、ブイーン。それ以外の音は聞こえない。別に走馬灯は馬ではないけれど。
 
 
 
「・・・・・」
 
 

僕は何も言えわない。
 
タニアも何も言わない。
 
 
 
しばし、沈黙に包まれた部屋の中でポータブルのウーハー付スピーカーで拡張されたような低い音が響く。
 
 
ブィーーーーーーーーーーン
 
 
 
「・・・・・」
 
 
僕は何も言わない。
 
タニアも何も言わない。
 
 
ブィーーーーーーーーーーン
 
 
 
 
ふと横を見ると、原始人用のかつらが置いてある。
 
 
 
 
(うわっ、これ、やばくね。あー、やばくね。)
 
お馬さんのスピードが加速する。

ヒヒーン、ビヒーン、ビィヒーン。・・・ブィーン。
 
 
 
 
 
 
(てかしゃーないよね。)
 
 
(いや、しゃーないのか。)
 
 
(てか、ないでしょ。俺の髪つかえばいいじゃん。)
 
 
 
 
もう一度、顔は向けずに横目で、本当にそこにカツラがあるのかを確認する。
 
 
 
・・・やっぱり見間違いではない、ちゃんとしたカツラがそこにある。
 
 
 
 
 
(でもさ、一緒じゃん、髪の毛の長さ。それに色も。意味なくね?ねぇ、意味なくね。)
 
 
 
「・・・・・」
 
 
僕は何も言わない。
 
タニアも何も言わない。
 
 
ブィーーーーーーーーーーン
 
 
 
 
お馬さんは息を切らしながら一生懸命走っている。地面を所狭しと走り回り走り回るところがなくなり、ついに背中に翼が生えてペガサスに進化した。ダーウィンの進化論の撮影なだけに。いや、面白くない。
 
いやいや、ヒヒーンんじゃなくて。ペガサスはゆっくりゆっくりと、それでも軽快に僕の正面に突っ込んでくる。
ペガサスの闊歩と同じリズムで瞬きを繰りかえすと、瞬間移動したように近づいてくる。ちょうど僕の左目に向かって。

僕はゆっくり目を閉じて、それを受け入れようと・・・・思った。
 
それでも、やっぱり馬でもペガサスでもないに決まってるのは、わかっているんだけど。
 
 
 
「あーーーーーーーーーー、もーーーーーーーーーーーーーー!」
 
タニアとADのダンがおそらくほぼ同時に叫んだ。
 
 
 
「剃らねーーーよ!」
 
 
 
 
「ん?」
 
 
「剃らないよ。剃ると思った実際?」
 
「あー、思ったよ、思ったし、思わなかったし。」
 
「プロフェッショナルだな、リオは。俺たちはキレるリアクションを楽しみにしてたのに。」
 
ダンは言った、そのためのカメラだと。
 
「おーぉーぃ!なーんなんだよーーーぉぉぉ!!!」
 



はっはっは。はっはっはっはっは。
とみんなで大笑いするのを期待したのだろう。




と、なんというか、ここまでは僕の妄想だ。

いや、ちゃんとバーミンガムにはいったよ。それに撮影もしたよ。ただ、僕の心の中の話ね。


事実を端的に説明すると(マジここだけの話よ)、このブイーンという音は

クリクリの髪の毛の毛先を伸ばす何かしらの物品だと思ったのだのだったのだ。

だって普通に考えて剃る必要なんてないもの。あまりにも突拍子のない、理にかなわないことが僕の右目から左目に通り過ぎたり、右耳から左耳に通り抜けたりすることは珍しいことでもない。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・・。


まぁいいや。

本題は、ここから。


「リオ、イアンに切れてくれよ。」

「は?」

ダンが笑いながら言い出した。

「剃るなんて話は、聞いてない。ふざけるなって。」

ダン、おまえがふざけるなよ、おい。

「いや、できないってそんなの。あんな青い目キラキラのイノセントなイアンにキレるなんて、俺無理無理。」

「役者だろ、できるって!」

役者であることと、このことはまったく別の話だ。

「申し訳なくてできないって。」

「できるでしょ。」

おいおい、タニア、お前まで乗ってくるんじゃない。



そんな押し問答が続き、部屋が少しずつ傾き始める。

まわりにいるみんなの顔が風船のようにふくらんできて、カモメカモメ、籠の中の鳥はよろしく、まわりをかこんでくる。

「やれよぉ、やぁれぇよぉ」

どんどんみんなの声がスローモーションで聞こえてくる。

そう、僕に残された答えは一つ。



「やるか。」



続きは、ここでどうぞ。一部始終が録画されてます。
あー、今見ても気がひける。

てへ、ごめんね、イアン。







気を取り直して僕らは、その4時間弱みっちりとメイクアップに勤しんだ。原始人がタブレットで遊んでみたりなんていう遊びもこなした。

Caveman2


Caveman3


Caveman4


Caveman5




まぁ、そんなこんなで「僕は元気にやってるよ。」「みんなも元気にやってるよ。」


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