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Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

遅延。遅れること。延びること。

意識の中にとらわれし本当のあなた


あっという間に2017年が過ぎ去り、2018年の初月も終わろうとしていますが、みなさんお元気でしょうか。

最近、更新頻度が少ないことが恒例になってしまいましたが、そのせいでだいたい前回のブログを振り返らないと自分がどこに立っているかわからなくなってしまいました。そして気がづきました。なんと!結局昨年の9月で更新が止まってしまっていたのだと(知ってたクセに)。

「面目無い・・・」と1年ちょっと前の僕に謝ります。10年目を迎え意気揚々としていたあの頃の僕に。

とはいえ、僕個人としては1年前の僕は今の僕とは別人なんだから、別に良いと思ってしまう反面、社会的には1年前の僕も今の僕もまったくの同一人物になるから、そうはいかないね。おっきな声で叫びましょう「意識のバカやろー!」って。

そして、期待してくれている貴重な奇特なみなさま方にも、大変申し訳ないと思っております。



さて、9月に弟と涙の別れをした後、相変わらずオーディションが身にならない日々が続いていた。

その分、映画・芝居鑑賞三昧で鰹節のように普段薄く薄く削いてしまっている魂がすり減らないように、魂の「食事」をしていた。(7月、8月、9月にちょくちょく魂の「休息」をしたもんね。)

(魂の定義はここでは省かせてもらうんで、突っ込まないでね。)

それから、長い時間かけて作成していたプロモーションの映像も完成した。



Leo Ashizawa - intro 2017 from Leo Ash on Vimeo.




11月に入ってテレビドラマの仕事が舞い込んだ。

僕の仕事は機密事項が多すぎるので、言えないことが色々ある。でも、今作品に関しては正式に公表されているので、発表できます!(あぁ、きーもちーぃ。)

【A discovery of witches(邦題:魔女の目覚め)】

アメリカでベストセラーになったファンタジー書籍の待望の映像化だ。この世には人間以外にも見た目が人間とまったく変わらない魔法使い、ヴァンパイア、魔族が存在し、ひっそりと生活している。そして・・・とちょっとあらすじを書いてみようと思ったけれど、なんだかどこまで書いていいのかわかんないからやめることにする。
気になる人は、ググってみてください(すみません)。残念ながら、今のところ日本での放映は決まってないんだけど。


撮影スタジオはロンドンから電車で2時間半ほど離れたウェールズの首都カーディフという場所にあるため、僕はしばらくそこに滞在することになった。

念のため言っておくと、僕が住む、そしてみんなの知るイギリス(英国)と呼ばれる国は、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」をさし、連合王国の連合は、「イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド」の4つの国をさす。

なので、ウェールズは一応、別の国だ。ご存知の通りサッカーのワールドカップではそれぞれの国が別々に出場しているのを見たことがあると思う。2時間半程度の旅とはいえ、カーディフの駅に着くと主要言語は英語であるものの、ウェールズ語はきちんと使用されている。例えば駅案内はウェールズ語と英語両方で流れる。

それを聞くと、視覚と聴覚で電気信号として並列化された脳内の情報が全身を駆け巡り、なんとなく全身を異国の風に撫でられているような気分になる。

インドヨーロッパ語族から派生したケルト語文化をイギリス国内のどこよりも色濃く残している(と思う)。


僕が所属する劇団には、カーディフに住んでいる劇団員がいる。

なのに「ほとんど毎週にわたってロンドンの稽古に顔を出してくれることを考えると、感謝で胸が詰まる思いがした。」・・・というくらい電車が問題だらけなのだ。


僕は11月と12月の間で、約5往復ほどロンドン・カーディフ間を移動した。その間、時間通りに電車が到着したのは、50%にも満たない。一番ひどい時は3時間遅れで到着した。


この作品が決まる前から僕は3年ぶりに年末年始を日本で過ごすことに決めていた。年末というには少し早いが、12月14日の飛行機で日本へ帰国する予定だった。・・・「だった」のだ。

親戚の結婚式に出席するためだ。結婚式は17日の日曜日、14日の木曜日に出れば、日本には15日の金曜日につく。疲労をとり、万全の体調に持っていくに十分な時間だ。

しかし、12月に入りに急遽撮影日程が追加され、従兄弟の結婚式で帰るはずだった飛行機の日付を変更せざるを得なくなった。状況を説明し、なんとか15日には撮影を終了してもらうことを了承してもらった。16日の朝の飛行機のチケットを押さえた。そして、綿密なプランを組んだ。


16日、ヒースロー空港9:30発
17日、羽田空港6:25着
<国内線乗換>
羽田空港8:30発
伊丹空港9:40着

梅田のホテルで10:30から始まる結婚式に参加する。


ここにもう少し細かいことを追加するとこうだ。

15日中にカーディフの撮影を終了し、15日中にロンドンに戻ってくる。そして、長距離の国際線だから6:30くらいにはヒースロー空港に着かないといけないから、5:30には家を出る必要がある。

16日、ヒースロー空港9:30発
17日、羽田空港6:25着
<国内線乗換>

正直なところ、この時間でしか、着替えはできない。スーツ着て長距離の飛行機は乗れない。シャワーくらい浴びたい。羽田空港は出てすぐにシャワーを浴びるところがある、ここでシャワーを浴びて結婚式の装いに着替えるべきだ。

羽田空港8:30発
伊丹空港9:40着

空港に着いて荷物(スーツケースx2)を出して、タクシーに乗った時点で10:00くらいだろう。ここは運を天にまかせて、道路が混んでいないことを祈るしかない。

梅田のホテルで10:30から始まる結婚式に参加する。




頭から吹き上がる湯気とともにプランが出来上がり、飛行機のチケットを押さえた時点で、僕の意識の遠くからミッションインポッシブルのテーマが流れてくる。村上春樹さんの著書「遠い太鼓」のように旅への誘いみたいな高尚であれば、どれほど良いか。



「何一つ予定が狂ってはならぬ。そうだこれはミッションなのだ。」



そうして、僕らはカーディフから一度、ロンドンへ戻り、しばしの休息の後、初のロケ撮影へと移動することになった。場所はイタリアのヴェネツィアだ。

水の都、ヴェネツィアには昔一度、友人に連れて行ってもらったことがあったが、その時は日帰りだったし、案内されただけなので、あまり記憶にない。自分の意思で自分の足を使って歩くことでしか得ることができないものが旅には確実に存在する。今回は撮影の合間にそんなことを考えてワクワクしていた。


冬至に向け、日照時間がおぞましく減っていく早朝、ヒースロー空港に到着した。チェックインや荷物預けが早く済んだとしても、セキュリティーを通過するのに時間がかかる。「世界一忙しい空港」として名を馳せるヒースロー空港のセキュリティーはどの空港よりも厳戒態勢だ。

セキュリティーを通過し、ため息を着いた後、一生懸命カバンの中へパソコンを戻したり、ポケット中から取り出した小物だったり、夢や希望だったりをもう一度ポケットに詰め直し、息を吸い込んで歩き出そうとした瞬間、共演者と偶然にも遭遇した。

「偶然だなんて大げさな、一緒の飛行機でしょうが」と思うかもしれないが、広い空港でゲートにたどり着く前に出会うことはあまりない。

僕達は、にっこり笑って互いに「何か食べたか。」と聞き合った。思考は似ている。腹が減っては戦はできぬだ。
そういって、近くのレストランで朝食を食べることにした。

注文した食事を待っている間に、なぜその共演者リチャードはそんなにカバンが大きいのか。そんなにたくさんの夢や希望が詰まっているのかを聞きただした。どうやら、荷物はそのカバンだけなようだ。それにカメラと数種類のレンズが入っているからカバンがそんなに大きいのだそうだ。

それから、逆になぜ僕は男のクセに僕はわざわざスーツケースをチェックインする必要があるのか、夢や希望を手元においておかなくていいのかと聞きただされた。

僕は、面倒臭いから同じ服を続けて二日着るのが嫌だからだと言った。

リチャードははにかんだ顔をし首をかしげながら、両手を顔のそばまであげて、手首だけ使って僕に空気の玉を投げてきた。


僕らは、出張が多い。出張が多いとできるだけ、うまく時間を過ごせるようにいろいろ考える。

リチャードは、出張を仕事以外に意義あるものにするために、カメラがいいと思ったそうだ。
どうせ観光はするんだけど、何の目的もなくただ歩き回ったり観光地を訪れる出張の延長線上にある観光では、あまり付加価値を得ることができなかったらしい。

その彼の話を聞いて僕も、出張を仕事の延長線上にある観光に何かの付加価値をつける手段を見つけることができればいいなぁと思っていたことを思い出した。(ブログに感謝)

そう言って、彼はカメラを取り出し、飛行機をパシャりと撮影した。

「お、雪かい。」
優しい繊細な雪が降り出していた。

「いや、雪じゃなくてそこに歩いているおばさんの窓ガラスに映る影が素晴らしかったんだ。」

「なるほど、見せてくれよ。」
そういって、みせてもらった写真は雰囲気はあるものの、本人曰く決定的な瞬間を逃した、そうだ。

それから過去に撮った写真をみせてもらって談義に花を咲かせていると、もう一人の共演者マリンがたまたま僕らを見つけて、やってきた。

一言目がこれだ。

「雪やばくね」

僕ら二人が顔をあげて、外を見てみると、優しい繊細な雪は、乱暴で大雑把な雪に早変わりし、深々とは程遠い、じゃんじゃん降り出してきた。

「これやばくね。」
僕ら二人は声を合わせた。

マリンがいう。
「え、でも私たちのフライトはもうすぐだから、大丈夫でしょう。」

「え、これ飛ばないと僕やばい。」僕は表情を変えずに言う。

悪夢が頭をよぎる。もし、この飛行機が飛ばなかったら、撮影日延期じゃん。それって・・・。遠くからミッションインポッシブルのテーマが流れてくる。もちろん、共演者のみんなも僕の事情を知っている。


僕らはマリンの言葉を信じて、早々とゲートに向かった。しかし、ゲートの搭乗口には人があつまり、スタッフに質問の嵐を投げかけている。登場時間は過ぎているのにゲートはあかない。

「いったいどうなってるんだ!」と叫ぶ客もいる。

僕は耳元でどんどんミッションインポッシブルのテーマが大きくなってくるのが聞こえてくる。しかし気にしても仕方がない。僕は何も気にしていないよという程で、みんなと話をする。ゲート前にはスタッフも全共演者も集合している。


「飛行機遅れたら今日一日の観光時間が減るよねー。せっかくの移動日なのに。」

「とにかくヴェネツィアに着ければいいじゃない。行けないのが一番最悪よ。あ、そいえばLeo、日本に帰るって話してたわよね。それいつ?いいなぁ、日本・・・X▪️◀︎」


それ以降の彼女の言葉は、ミッションインポッシブルのテーマにかき消される。

僕は、そのままソファーに体を埋め目を閉じた。テーマソングが大音量になるのは耐えられない。
それに僕の特技はどこででも寝ることができることだ。



誰かに肩を軽く叩かれて目が冷めた。
「乗るぜ!」拳をグーで握りしっかりと親指をたてていた。グーは、グレートのグーだ。
リチャードがこれほどかっこよくみえたのは、初めてだった。

目がさめると、もう例のテーマは聞こえていなかった。

時計をみると3時間半が過ぎていた。しかし、飛行機に乗り込むことができるだけで僕はとても嬉しかった。

結局のところ、飛行機内でも3時間半待つことになり、ずっと例のテーマが流れっぱなしだったが、離陸した瞬間にテーマソングごとロンドンに置いてくることになった。

ようやくヴェネツィアに着いた頃には、夜も更けていた。7時間の遅延だ。が、少なくともヴェネツィアには無事到着した。

ヴェネツィア空港からは4人乗りのスピードボートに乗り、海の道を通り直接ホテルの運河入り口に到着した。ボートに乗っている間中は、「007」のテーマがずっと流れていた。

ヴェネツィア


撮影は滞りなく終わり、出発の日。他の共演者たちは、ヴェネツィア空港からイギリス西部ブリストル空港へ飛び、そこから車でカーディフに直接向かうことになったが、僕は急遽別の仕事が入った為、ブリストル空港から電車でロンドンへ戻ることになった。

そのブリストル空港行きへの飛行機も3時間遅れてようやく出発してくれた。ブリストル行きの飛行機が遅れているのを尻目に、直接カーディフに行かなくて良い組は、早々とヒースロー空港へ向けて発っていった。「僕もあれに乗れたらよかったのに。」そうして、ブリストルからロンドンへの電車も30分ほど遅れた。


もうこのあたりになると、電車の遅れ程度では、驚かなくなったし、例のテーマが流れない限りは、焦ることもなくなった。人は、慣れる。

翌日、朝からBBC(日本のNHKみたいなもんです)で声の収録をすませ、その足で電車に乗ってカーディフに向かった。この電車も例にもれず30分ほど遅れた。

カーディフのホテルに着いた時にはすでに夕食の時間を過ぎていたが、翌日が早かったことと、疲れがMaxにまで達していたため僕は早々にベッドに入った。


それから撮影は順調に進み最終日の僕が出ている最後のシーンが近づいてきた。

やはり慣れ親しんだキャラクターや素敵なスタッフ、仲良くなった共演者とのお別れは、寂しい。僕らは最後のシーンを撮影するためのシーンチェンジのために、簡易休憩所でストーブにあたりながら話をしていた。思ったよりシーンチェンジに時間がかっているらしく、お茶を飲みながら駄弁りが続く。

「明日から日本のだな。」
「日本の天気はどうなんだ。」
「クリスマスは祝うの。」
「何が一番食べたい。」

いろんな質問が飛び交う。もう、終盤が近づいている証拠だ。胸がじんわりしてくる。

「(そうかぁ。最終日かぁ。)」

「てか、明日の飛行機は何時なの。」

「9:30。」

「ってことは、6:30くらいには空港だよね。早いなぁ。」

「まぁ、どうせ飛行機で寝るから大丈夫だよ。」

「そうだね。」

「でも、今日中に帰れるといいね。」

「いやいや、帰らないと。荷物も詰めないとだめだし。」

「そうだね。」

ん?まてよ。今日中に帰れるといいね。ってどういう意味だ?帰れるに決まってるじゃないか。

「あのさ、今日の電車って何時かな。」
トリスタンに聞いてみた。

「20:15の次は23:00」

「え?23:00」
それは、やばい。もし3時間遅れるような事態が発生するともうどうしようもないことになる。

「やばい、やばい。僕絶対に20:15に乗らなきゃ。」

時計をみる。時間はすでに18:00だ。



非常にまずい。やばい。まずい。という言葉は禁句だ。それを頭の中で反芻すると遠くから聞きなれたテーマが流れてくる。そのテーマが流れてくるとどんどん焦りに火がつく。まさに、どこかでみたことがある火が導火線を燃やしていく映像まで脳裏に浮かぶ。


スタッフが役者を呼びにくる。


全員でガヤガヤ言いながら、セットへ向かう。


僕は、少しみんなから遅れ歩き出す。俯き加減で、ついに口から例のテーマソングが漏れていたのかもしれない。


みんなと一緒に先に歩いていたトリスタンが振り向いて、その場で立ち尽くしてる。


みんなより少し後に歩いていた僕は、こちらを向いて立っているトリスタンと必然的に目が合う。



「りおしゃん、だぁいじょうびか?」
トリスタンがいつものひょうきんな声で聞いてくる。役柄とは大違いだ。

「・・・」

「。。。」

「・・・。」

「。」

「トリひゃん、でぇじょうぶでっしぇ!」
まさか、僕からそんな反応が帰ってくるとは思わなかったか、少しびっくりしたトリスタンを横目に、二人で一緒に歩いてセットへ向かった。


光の道しるべそれは果たして



予定や目標を立て、それを遂行し、結果を得る。という建設的な黄金のルールがある。人は基本的にこのルールに従おうとする。言葉で説明するとこの3ステップだけのように見えるが、もちろん各ステップには、言葉にする以外のたくさんのプロセスが、それぞれの人に一番あった形で存在する。

しかし、それはあくまでも意識のプロセスだ。意識は、すべてを支配下に置こうとする。例えば、思うように身体が動かないことにフラストレーションを感じるのは僕であって、でも僕ではない。僕の意識だ。思うように動かない身体だって僕だ。意識はそれが許せない。常に意識を最上位に持って行こうとする。詳しく話し出すとキリがないが、その延長線上が、この黄金のルールにある。


そして、この黄金ルールが軋む度に、金属音の代わりにミッションインポッシブルのテーマソングが聞こえてくる。


遅れてしまうこと、延びてしまうこと。それ自体は一切悪いことではない。それは単なる事象、出来事である。それ以上でなく、それ以下ではない。人間がそこに付加価値を置かない以上、その事象に特別な意味はない。そういうことに代表されるような事象や出来事に意味づけすることによって真実以上のものに昇華し、必要以上に自分を振り回すのが、意味を生み出すことでしか生きられない現代人だ。


過去の人間や自然と生きる人間には関わりの少ない悩みだろう。これは都会という人の意識を具現化した場所に生きる人間だけが持つ悩みであり、制限だ。


自分を制限する時にのみ、過去が蘇り、未来が目の前に現れる。そして現在を意識することができる。そう、「意識」することができる。なんとも不便な思考回路だ、現代人は。



そんなことを考えながら、ロンドンへ戻る電車に揺られていた。時間は23:30。まだロンドンへ着くには時間がかかる。


電車は相変わらず遅れていたが、もはや例のテーマはもう聞こえなかった。


車内の電車のあかりで窓の外の景色はよくわからない。


外を必死で見ようとする僕の顔、僕の背後で眠る人、携帯電話を触っている人、黙って水を飲んでいる人、色んな人の姿が窓に反射されてよく見える。


どれだけ顔を窓に近づけてみようが、手で車内の光を制限してみようが、外の世界は少しの明かりを除きとても暗く、結局は何も見えない。

僕は少しため息を着いた後、あきらめてもう一度、窓に反射する車内の人たちの姿をボーッと眺めた。




そして、自分を含めそんな人たちの姿を見て、「意識」に少し同情した。




結婚式には間に合ったよ




僕は元気でやってるよ。

みんなも元気でやってけよ。



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