Leo Ashizawaの「元気でやってるよ。」「元気でやってけよ。」

自分がやりたいことを少しでも伝えるには、自分自身の中でそれなりに土台が必要です。僕の土台はこのメッセージ。これまでお世話になった人へ。これからお世話になるであろう人へ。ロンドンで活動する役者、Leo Ashizawaからの便り。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕らの想像が現実になった日④

~僕はどこに立っているのかすら、わからなくなった~

夕焼け染まる雲の下 今にも落ちてきそうな雲の下
草原の丘の上

日が沈むにつれて、草原を撫でる風が強くなってくる
そんなに強く風が吹くのなら、花びらもすべて散り去ってしまう。
夜のここを<支配するもの>は、思うほど優しくも、愛に満ち溢れているわけでもない。
一番はじめに輝く星は、すでに自分のいつもの場所で、他の星たちが輝くのを待っている。

丘の上に立つ僕に色はない。景色の中に溶け込むシルエットでしかない。
かろうじてまだ、沈んではいない太陽が照らしてくれる光が僕にカタチを与えてくれいてるだけ。


誰かが僕を見ていることに気がついてはいた。
ただ、まだ、僕がそれに気づいてはいけない気がしただけだ。
まだ、僕が見てはいけない気がしただけだ。
だったら、すでに僕がそこにいる必要はないのかもしれない。

それでも僕は・・・ここにいたい。


どうしても・・・ここにいたいんだ。


両手で覆っていた顔から手をゆっくりゆっくり離してみる。その手をゆっくりゆっくり眺めている。
両手を腰まで下げた辺りで、自分の足元に広がる草原の草先に荒れんばかりの風が吹きすさんでいることに、気づく。
しばらく、草に眼を奪われた僕は、瞳を左右に動かす、ゆっくりゆっくり。
僕の周りの草だけ、緑が深い。他の草よりも緑色が深い。

僕は大きな影に覆われている。
大きな影に包まれている。


ふと、僕の足元に強くふいていた風が止んでいる。
僕自身にも、力強く、吹き荒れていた風が止んでいる。
それでも風の音は聴こえている。少し離れたところで風の音は聴こえている。
何かが僕のまわりの風をさえぎっている。


僕の視線は両手に戻る、透明な水をすくっているように腰の辺りにすえられた両手に。
ゆっくりゆっくりと、その両手を空に向かってのばしていく。
すくっていた透明な水が徐々に、徐々に、滝のように輝きながら流れ落ちていくかのように、両手を広げていく。
僕の視線は両手の隙間を弧を描くように登ってく。


僕の眼は大きな眼をとらえる。
僕を大きな影で包んでいた主の。
僕のまわりの風をさえぎっていた翼の主の。

雲間から降りてきたその影の主を。
僕が待っていた。その影の主を。


大きな咆哮とともに、また、風が強く吹き始めた。
横から草原に吹く風と、上から力強く吹き降ろされる風
無制限に吹く横風と、一定のリズムで吹き降ろされる風


徐々に、僕の周りの緑の深さが変わっていく・・・他の草の緑色と一体化していく。
夕焼け染まる空の中に吸い込まれていく、大きな黒い影
吹き降ろされる風に眼を細めつつも、僕はずっと眺めていた。


その姿が見えなくなっても
広げた両手の指先を見つめていた。




僕は一人その丘で待っていた
いつかそこにやってくる彼を。

彼が翼を休めるその場所で。

彼がそこにやってくるのを
僕は両手を広げる準備をして待っていた。

ずっと昔から、遥か昔から。



「何やあれ!?」

~僕は、突然、自分がその場に立っていることを意識した~

「わかってるって・・・!?なんやあれ??」
「へび??」
「は?」
「蛇が空を飛ぶわけないやん?あんなデカイ蛇おらんやん!!」
「んなら、やっぱり・・・」
「りゅう?」
「竜?」
「どらごん?」
「ドラゴン?」


“それ”は雲と雲の間を、ゆっくりゆっくりと
“それ”は太陽の光に照し上げられながら黒いシルエットをつくり、ゆっくりゆっくりと
“それ”は長い身体と大きな翼を、ゆっくりゆっくりと


大きな雲の中に吸い込まれるように消えていった。。。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
し~ん。

しばらく時が止まっている二人の少年。
どちらからかはわからないが、時は一瞬止まり、次に動き出す時は加速する。


「「わーー!!」」


僕たちは、大声を上げながら力いっぱい走りだした。

歩道に駆け出す おばさんの運転する自転車なんて関係ない!
道路に駆け出す 車なんて関係ない!!

力いっぱい駆け出す 目的地なんて関係ない!!!

とにかく、今起きた出来事を消化するほどの世界が自分たちにはない。
だから走るしかない。
落ち着くまで。
心が理解するまで。


* * *


その日以来、ずっと、僕はまだ止まることはできていない。
走り続けている。
落ち着いてもいない。
心が理解してもいない。


俺に消化できるほど、世界は狭くないし、当たり前でもない。
この先止まることもないのかもしれない。



いずれ走ることができなくなるその日まで



僕らの想像が現実になった あの日から
僕らの現実が想像になる いつかまで。


僕らの想像が現実になったその日から、僕らの現実が想像になるいつかまで。


完。

- 2 Comments

kou  

この写真めっちゃかっこええやん!!!!!!!

2007/05/31 (Thu) 01:44 | EDIT | REPLY |   

gencoo  

>kou
これはBrightonっていう街の近くにあるDevil's dykeってところ。夕暮れが美しかった。

2007/05/31 (Thu) 09:54 | EDIT | REPLY |   

Add your comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。